映画『オデッセイ』を紹介

映画

2015年公開の映画『オデッセイ』を紹介します。

『オデッセイ』、原題は『The Martian』で火星人、火星の人という意味ですね。アンディ・ウィアーの小説『火星の人』が原作です。第88回アカデミー賞で7部門にノミネートされています。

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あらすじ

まずあらすじの紹介から。火星での有人探査ミッションに参加していた宇宙飛行士のマーク・ワトニーは、とある事故の結果、火星に一人、取り残されてしまう。他のクルーやNASAからは死んだと思われ、地球に戻る手段もなく絶望するマークは、それでもなんとか生き延びようとする。生存に不可欠な食糧も限られていたが、彼は植物学者としての知識を生かし、残された物資の中にあったジャガイモを栽培することに成功した。次に地球と交信することを模索するマークは、過去に火星に送り込まれていた無人探査機、パスファインダーを見つけて回収する。一方のNASAも、彼がパスファインダーを掘り出すことを察知し、地球に残されていたパスファインダーのレプリカを使って火星と交信することに成功する。そしてNASAはマークを救出するためのミッションを開始する。

悲観と楽観の好バランス

この映画の魅力は究極の孤独、究極の絶望に主人公が打ち勝つ姿にあります。火星に取り残されて、何もしなければ餓死するだけ、という状況で、生き延びる決意をどうして持ち続けることができたのか。マークの姿に心を打たれます。そして映画は悲観と楽観のバランスがとても良いんです。とにかく絶望的な状況が続きますから、緊迫したシーンがベースとなりますが、ときにマークが明るく振る舞ったり、冗談を言ったりするシーンがちょうど良く挟まれて、重い雰囲気にはなりません。音楽もとても効果的に映画を盛り上げています。緊迫したシーン、絶望的なシーンには当然、重厚なBGMが流れますが、その途中に挟まれるのはABBAやドナ・サマーなど、1970年代のディスコソングです。暗くなりすぎない、明るくなりすぎない、この絶妙なバランスが素晴らしいと思います。

ジェフ・ダニエルズの魅力

主人公のマークを演じるのはマット・デイモン。2014年の『インターステラー』でも宇宙飛行士を演じていますね。脇を固めるのはジェシカ・チャステイン、ショーン・ビーン、ケイト・マーラなどの豪華な俳優陣ですが、個人的に注目してほしいのはNASAの長官、テディ・サンダースを演じるジェフ・ダニエルズですね。NASAの長官だけあって、冷静に現実的な提案をするので、他の職員よりもマークに対して冷たいような印象を受けます。一見すると自分の保身のための言動のようにも見えますが、自分のミスはちゃんと認める一面もあり、間違いなく頼れるリーダーです。この微妙な役どころにジェフ・ダニエルズが完璧にハマっています。

NASAも協力した科学的正確性

リアルで迫力のある映像表現も魅力的です。また、この『オデッセイ』ではNASAの協力によって科学的にもできるだけ正確で現実に近いものとなっています。もちろんフィクションなので、娯楽性を優先している部分もありますが、マークが生き延びるために試行錯誤した手段など、全くのファンタジーとも言い切れないようです。そもそも原作となった小説がウェブ小説で、読者からのフィードバックを元に科学的に正確な表現を目指しています。それがこの映画の緊張感をよりいっそう高めてくれていますね。

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